1965年調印の「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓基本条約)」に付随して締結された協定。正式名称は「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」。同協定では、日本が韓国に対して無償3億ドル、有償2億ドルを供与することによって、第二次世界大戦時の補償にかかわる請求権問題は、両国および国民の間で完全かつ最終的に解決されたと確認する旨を明記している。従来、韓国政府は従軍慰安婦問題や在韓被爆者問題、サハリン帰還者問題は同協定の対象外との立場を取るが、日本統治時代の戦時徴用に関しては、同協定に基づいて個人請求権は消滅したとの見解だった。しかし、戦時中に日本に強制徴用された韓国人が新日鉄住金(旧・日本製鉄)に対して未払い賃金などの補償を求めた訴訟において、韓国大法院(最高裁判所)は2012年5月、強制徴用は協定の対象外で個人請求権は消滅していないと判断、審理を差し戻した。これを受けて、13年7月にはソウル高等裁判所が新日鉄住金に賠償を命じる判決を下した。また、同月には同じく差し戻し審で、釜山高裁が三菱重工業に対して元徴用工への賠償を命じる判決を出すなど、日韓関係の新たな懸案となっている。