イエメン北部を中心に活動するイスラム教シーア派系の武装組織。シーア派の分派の一つであるザイド派に属する。北部のフーシ部族を主体として1980年代に始まったザイド派復興運動の一つで、指導者はアブドルマリク・フーシ。共和制の廃止や、反米、反イスラエルなどを主張する。同国で長年、独裁体制を維持していたサレハ政権(当時)への不満を背景に2004年6月に政府軍と武力衝突を引き起こし、以後も両者の間では断続的に戦闘が発生した。同国では12年2月にサレハ大統領が退陣した後、暫定政権による民主化が進められてきたが、フーシ派は政権に異議を唱え、14年9月に首都サヌアに進撃。15年1月には大統領宮殿を占拠し、翌月、政府を退陣に追い込んで、自派中心の暫定統治機構を設立すると宣言した。この動きに対し、国連安全保障理事会(安保理)は即時無条件の撤収を求める決議を採択したが、同派はこれを拒否している。フーシ派は、イエメンを拠点に活動するスンニ派の過激派組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」や、他のスンニ派組織と敵対しており、そうした勢力との衝突も発生するなど、同国では政情混迷に拍車がかかっている。