2014年4月16日に、韓国の全羅南道の珍島郡沖で起きた大型客船転覆沈没事故。転覆、沈没したのは、同国の海運会社、清海鎮海運所属の大型客船「セウォル(世越)号」。全長146.6メートル、重量6825トン。もともと1994年に日本で建造され、「フェリーなみのうえ」の名称で鹿児島・沖縄航路に就航していたが、2012年の引退後に清海鎮海運に売却され、改造を施した後、仁川・済州島航路に就航していた。修学旅行中の高校生など乗員乗客476人を乗せて、仁川から済州島に向けて航行中の同日午前8時50分頃、同船は右に急旋回後に船体が傾いて転覆し、沈没。事故発生直後にその場を動かないようにとの船内放送が繰り返されるなど、避難誘導が不適切だったこともあり、死者295人、行方不明者9人を生じる大惨事となった。事故に対する政府の対応への批判は大きく、14年5月19日には朴槿恵(パク・クネ)大統領が国民に向けた談話を発表して謝罪するとともに、救助活動の不手際が指摘された海洋警察庁を解体することを表明した。同年12月29日に韓国海洋安全審判院が公表した報告書によれば、船を安定させるバラスト水を過剰に排出し、過剰な貨物を積載していたことが事故の主な原因であり、そこに船員の操縦ミス、事故後の対応の遅れなどが重なったことが、被害を拡大させたとしている。事故直後に乗客を置いて脱出し、殺人罪などに問われていたイ・ジュンソク船長は、15年4月28日光州高裁で殺人罪などが適用され無期懲役となった。そのほか運航担当乗組員ら14人も実刑判決となった。