中国の天津市で2015年8月12日に発生した爆発事故。同日深夜、同市の港湾部にある経済技術開発区「浜海新区」で化学物質を保管していた倉庫のコンテナから出火。消防による消火活動が始まった後、2回にわたって大規模な爆発が起きた。爆炎は高さ数十メートル以上に達し、爆風によって1キロメートル以上離れた建物でもガラスが割れるなどの被害が続出。市当局は14日の段階でほぼ鎮火したと発表したが、現場では翌日も小規模な爆発が発生した。事故の経緯や被害の全容には不明な点が多いが、同市発表によれば、9月2日までに160人の死亡が確認され、行方不明者は13人。市当局によると、現場の倉庫にはシアン化ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カリウムなど、約40種、計約3000トンもの危険化学物質が保管されていたという。こうした化学物質が保管されていることを知らされないまま消防隊員が放水したことで、倉庫内の物質が水と反応し爆発を引き起こした可能性が指摘されている。化学物質による周辺の土壌や水質の汚染を懸念する声も多い。また、周辺の工場や店舗などが大きな被害を受けたほか、同国有数の輸出入の拠点である天津港が機能不全に陥ったため、中国経済にとっても大きな痛手と見られている。