2015年11月4日にカナダの第23代首相に就任したジャスティン・トルドーを首班として同日発足した政権。同年10月19日に実施された総選挙で、トルドーが党首を務める自由党が与党の保守党を破り、約10年ぶりの政権交代を実現させた。トルドー首相は、1960年代から80年代にかけて2回、同国の首相を務めた故ピエール・トルドーの長男。43歳での首相就任は、同国史上2番目の若さとなった。トルドー内閣の人選には性別や人種への配慮がうかがわれ、首相を除く30人のうち半数が女性。国防大臣にはインド系のハルジット・サジャンを、法務大臣にはカナダ先住民系のジョディ・ウィルソン・レイブルドを、民主制度大臣にはアフガニスタン難民としてカナダに移ったマリアム・モンセフを起用するなど、多様性を重視した起用が目立つ。自由党は総選挙の公約に中間層の減税と富裕層の増税、インフラ投資の拡大、シリア難民の受け入れ拡大、過激派組織「イスラム国」(IS)に対する空爆作戦からの撤退などを掲げており、トルドー政権においても基本路線になると見られる。また、前政権が大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)については、評価しつつも合意内容を議会で検証するとしている。前政権が消極的だった地球温暖化対策には積極的に取り組む方針に転換する。