2016年2月6日午前3時57分、台湾南部で発生したマグニチュード6.4の地震。台湾南部地震とも呼ばれる。震源は高雄市で、震源の深さは約16キロメートル。最も被害が大きかったのは、同市に隣接する台南市で、建物9棟が全壊し、5棟が傾いた。中でも最悪の被害を招いたのが、横倒しに崩れた16階建ての住宅兼オフィスビルで、地震発生直後から懸命な救助活動が行われたものの、捜索活動は難航した。同月18日に見つかった行方不明の女性を合わせて、115人がこのビルの倒壊により死亡。台湾全体の地震による死者117人のうち、約98%を占めた。同ビルは周辺よりも価格が安かったため、若い家族が多数入居。そのため、12歳以下の子どもが少なくとも26人犠牲となった。このビルでは、コンクリートの柱の中に複数の缶が埋め込まれているのが見つかり、手抜き工事による耐震性の問題が指摘されているのに加え、下層階で部屋の壁を打ち抜く改築工事が行われていたことが判明し、倒壊は人災の側面が強いと考えられている。同月9日、台湾の検察当局がビルを建設した会社の元社長ら3人を業務上過失致死の疑いで身柄拘束。本格的な捜査と原因究明を進めることとした。