2016年4月11日、広島市で開催されたG7外相会合において採択された、核軍縮・不拡散の実現に向けた宣言。G7外相会合はサミット(主要国首脳会議)の前に開催される関係閣僚会合の一つで、5月の伊勢志摩サミットに絡む10の閣僚会合の先陣を切って行われた。外相会合において、核軍縮・不拡散に絞った文書が採択されたのは初めてとなる。同宣言(日本語仮訳)では、冒頭で「広島及び長崎の人々は、原子爆弾投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験」したと指摘し、核兵器の被害の大きさに触れたものの、日本が主張していた「核の非人道性」という文言は、核保有国の反発に配慮して盛り込まれなかった。なお、「非人間的な苦難」と訳された部分の原文(英語)は「human suffering」(直訳すれば「人的苦痛」)であり、日本語訳ほど強い表現ではない。核兵器のない世界に向けた進展には、現実的で漸進的なアプローチが欠かせないとし、中国を念頭に置いたうえでG7以外の核保有国に対しても透明性を求めた。また、核不拡散条約(NPT)の未締結国に対して遅滞なく、無条件で加入することを求めるとともに、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に向け、すべての国が遅滞なく、無条件で署名・批准すべきであるとした。さらに、「我々のような政治指導者やその他の訪問者が広島及び長崎を訪れ、深く心を揺さぶられてきた。我々は、他の人々が同様に訪問することを希望する」と明記し、各国の政治指導者が被爆地を訪れるように促す内容も盛り込んだ。