南シナ海にある約30の小島や岩礁、サンゴ礁からなる島々。近年、中国とベトナム、台湾の間で領有権を巡って対立が続いている。フランス領インドシナ解体後は、旧南ベトナムの管理下にあった。しかし、ベトナム戦争後、1973年にアメリカ軍が南ベトナムから撤退すると、翌年、中国が進出。ベトナムと中国間の軍事衝突を経て、中国が事実上支配している。92年に中国は独自に、西沙諸島及び南沙諸島(スプラトリー諸島)が自国の領土であるとする「領海及び接続水域法」を制定し、東南アジア諸国と領有権を巡って対立。2002年に、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は南シナ海の領有権問題の平和的解決に向けた行動宣言に署名したが、実効性のある行動規範などの策定は、13年に公式協議が始まるまで行われなかった。その間、09年に中国は国連に、1954年に独自に引いた国際法上の根拠が曖昧な9本の境界線(九段線)の地図を添付して提出。2012年には、西沙諸島及び南沙諸島などを管轄する三沙市を設置するなど、事実上の支配の強化を進めてきた。14年5月初旬、中国は西沙諸島に大規模な石油掘削基地を建設。ベトナムはこれに反発し、双方の艦船の衝突事件が複数回起き、負傷者も出ている。ベトナム国内では、反中国抗議運動が起こり、中国系企業の工場が略奪、焼き打ちなどに遭った。