フランスのパリと近郊のサンドニで現地時間2015年11月13日夜に同時多発的に発生したテロ事件。自動小銃や爆発物で武装した男7人が3手に分かれ、合わせて6カ所を襲撃した。このうち1グループは、サンドニのサッカー場「スタッド・ド・フランス」の入り口付近などで立て続けに自爆テロを実行。事件当時、スタジアムではサッカーのフランス対ドイツの親善試合が行われており、フランスのフランソワ・オランド大統領、ドイツのシュタインマイヤー外相も観戦していた。二つめのグループは、パリ中心部のレストランやカフェなどで銃を乱射して客らを多数殺傷した後、コンサートホール「ルバタクラン」に侵入。アメリカのロックバンド「イーグルス・オブ・デス・メタル」のライブに集まっていた観客らに向けて銃を乱射した。残る襲撃犯はカフェで自爆テロを行い死亡。一連の襲撃による犠牲者は、同月20日までに130人を数え、第2次世界大戦後のフランスでは最悪のテロ事件となった。不特定多数の民間人が出入りし警備が難しいソフトターゲットを狙った犯行といえる。事件発生直後、オランド大統領はフランス全土に国家非常事態宣言を出し、国境管理を強化。翌日にはインターネット上で、過激派組織「イスラム国」(IS)による犯行声明が掲載された。15年9月からシリア領内での「イスラム国」への空爆に参加しているフランスに対する報復攻撃との見方が強まっている。「イスラム国」は、パリ同時多発テロ前日の11月12日にレバノンの首都ベイルートで発生し40人以上が死亡した連続自爆テロ事件でも犯行声明を出している。同月18日にはパリ近郊で事件の容疑者らと警察による銃撃戦が起きて、首謀者と見られるモロッコ系ベルギー人の男ら2人が死亡し、7人が拘束されたが、事件の全容解明には至っていない。