2016年7月14日、フランス南部のリゾート地ニースで発生したテロ事件。同日夜、フランス革命記念日を祝う花火の見物客が集まっていたニースの海岸沿いの遊歩道に大型トラックが突っ込み、約2キロメートルにわたって暴走。84人が死亡し、200人以上が負傷する事態となった。運転していた男は、警察官との銃撃戦の末、射殺された。男はニース在住のチュニジア人、モアメド・ラウエジュ・ブレル容疑者。同容疑者は同年1月に暴行事件で有罪判決を受けていたが、情報機関の監視対象とはなっていなかった。捜査段階で、急速に過激化していたことが明らかになっている。同月16日、「イスラム国」(IS)系の通信社であるアマク通信が、実行犯はISの信奉者によるものであると伝え、関与を表明したが、同容疑者とISの直接的な関係は明らかになっていない。捜査当局は、同容疑者の一匹オオカミ型な犯行の可能性を視野に、ISとのつながりを調べるべく、容疑者の元妻ら5人から事情を聞いている。フランス議会の上院は同月20日、15年11月にパリで起こった同時テロ後に全土に出されていた非常事態宣言を17年1月まで半年延長する法案を賛成多数で可決。さらなるテロ対策に取り組むこととした。