イスラム教徒の礼拝所、礼拝堂。アラビア語で「平伏する場所」という意味の「マスジド」が、スペイン語で「メスキータ」となまり、英語の「モスク」になった。金曜日の集団礼拝に使われる大モスクはジャーミー(ジャーミウ)とも呼ばれる。622年にメッカ(マッカ)からメディナ(マディーナ)に移住した預言者ムハンマド(マホメット)が、住居の一部に設けた信徒の礼拝場所がモスクの始まりとされる。その後、イスラム教の拡大とともに、モスクは中央アジアから北アフリカを中心とした広い地域で建設され、時代や地域によって多様な建築様式が用いられた。通常、モスク内部は礼拝のための大きな堂になっており、聖地メッカの方角に向かった壁にはミフラーブと呼ばれる壁龕(へきがん。壁のくぼみ)が設けられ、その脇にミンバルという説教壇が設置される。教義で偶像崇拝が固く禁じられているため、神像などはない。また、外郭には礼拝の呼びかけを行うための尖塔(ミナレット)や、体を清めるための水場などが設けられている場合が多い。日本にも、東京都渋谷区の東京ジャーミイや、兵庫県神戸市の神戸ムスリムモスクをはじめとして、大小約80カ所のモスクが存在する。