2014年12月5日、韓国の航空会社である大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)副社長(当時)が、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で同社の国際線旅客機を搭乗口に引き返させた事件。当日、同氏は同空港発、韓国仁川(インチョン)行の同社機ファーストクラスに乗客として搭乗した。その後、客室乗務員が同氏に機内サービスのナッツを提供したところ、その出し方がマニュアル通りではないとして激怒。滑走路へ向かって動き始めていた機体を搭乗口に引き返させ、機内サービスの責任者を降ろさせた。この騒動により同機の離陸は遅れたが、ほかの乗客へのアナウンスは行われなかった。事件から3日後の12月8日にこの事件をメディアが報じ始めると、韓国国内では「ナッツリターン」と呼ばれるようになり、国民的な関心事に。同氏が、大韓航空を中核とする韓進(ハンジン)グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長の長女だったことから、財閥令嬢による横暴として批判が殺到した。批判の高まりを受け、同氏は副社長職をはじめとしたグループ内の役職全てを辞任し、報道陣の前で謝罪。同月17日には、韓国検察が航空法違反や業務妨害の容疑で同氏の取り調べを開始した。韓国国内では、財閥企業が大きな力を持つ韓国社会が抱える問題の現れとしてとらえる見方も多い。