国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)が、サイバー犯罪対策の拠点としてシンガポールに設置した機関。政府機関への攻撃やインターネットバンキングの不正送金など、サイバー犯罪の世界的な拡大を背景に2010年に設立が決められ、14年9月に施設が完成。15年4月に本格的に始動した。主な業務は、ネットワーク上の監視やコンピューターウイルスの解析などの証拠保全、捜査の国際連携が円滑に進むための支援や調整、サイバー犯罪に関する捜査技術の向上となる。薬物や武器を違法に販売する闇サイトの監視も業務に含まれる。初代総局長は日本の警察庁から出向した中谷昇(なかたにのぼる)氏。世界20カ国以上から捜査員が派遣されているほか、セキュリティー会社の技術者など、民間企業のスタッフも参加する。NECやトレンドマイクロなど、日本企業からの参加者も多い。国境をまたぐことが一般的なサイバー犯罪への対処について、司令塔の役割を果たすことが期待されている。