ミャンマーで2015年11月8日に実施された上下両院議員を選ぶ選挙。同国では1962年のクーデター以降、軍による政治支配が続き、90年に実施された総選挙でアウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した際も、当時の軍事政権は結果を無視して政権移譲を拒んだ。2015年の選挙は11年の民政移管後、初めての総選挙となり、有権者数は約3000万人。同国の国会は上院下院のそれぞれ4分の1があらかじめ軍人議席と定められており、総選挙では合計664議席のうち軍人枠166議席を引いた498議席が小選挙区制で争われた。なお、七つの選挙区では、少数民族の武装勢力との衝突などを理由に選挙が中止された。選挙では、軍系の与党、連邦団結発展党(USDP)に対してNLDがどこまで票を伸ばせるかが注目されたが、結果はNLDの圧勝。非改選の軍人議席を含めた全議席の過半数を大きく上回る390議席を確保し、歴史的な政権交代が確定した。選挙結果に基づく国会は16年1月に召集される予定で、新政権はテインセイン大統領の任期が満了する同年3月に発足する見通し。新大統領は、上院の民選議員団、下院の民選議員団、上下院の軍人議員団からそれぞれ擁立される3人の大統領候補から、全議員投票で選ばれた人物が就任する。同国の憲法では配偶者や子どもが外国籍を持つ人物は大統領に就任できないと規定されており、夫や息子がイギリス国籍のアウンサンスーチーは大統領にはなれない。