国交が断絶しているアメリカとキューバが関係改善に向けて行う外交交渉。2014年12月17日、アメリカのバラク・オバマ大統領が、キューバと国交正常化に向けた交渉に入ると述べ、対キューバ政策を大きく転換させる方針であることを表明。キューバのラウル・カストロ国家評議会議長も同日、アメリカと国交回復で合意したと発表した。1959年のキューバ革命によって誕生したフィデル・カストロ政権が、翌年アメリカ系の資産を全面的に接収したことをきっかけに、61年1月、アメリカがキューバに国交断絶を通告。キューバはソ連に急接近し、社会主義体制への転換を図った。62年にはアメリカが全面禁輸制裁を発動、さらにキューバでのソ連ミサイル基地建設をめぐって米ソが対立したキューバ危機に発展。以来50年以上、国交断絶状態が続いてきた。国連総会では92年以来23年間にわたって、アメリカの対キューバ経済封鎖政策の解除を求める決議を賛成多数で採択、政策の見直しを要求していた。対キューバ政策で国際的に孤立する状況や、キューバとの貿易再開を望むアメリカ経済界の圧力などから、2013年春以降、オバマ政権は水面下でキューバとの協議を開始。この協議では、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王およびカナダ政府が仲介役を果たした。14年11月のアメリカ中間選挙で野党の共和党が上下両院で多数を占める状況になり、民主党のオバマ政権が外交に活路を見いだす必要に迫られたことも、国交正常化交渉開始を後押しする形となった。15年1月にもアメリカの国務次官補らがキューバのハバナを訪問して、国交正常化に向けた交渉を開始する。