欧州連合(EU)からの離脱の賛否を問うため、2016年6月23日に投開票が行われたイギリスの国民投票。ユーロ危機のあおりを受けた影響で反EUの声が高まっていた13年1月の議会選挙でデビッド・キャメロン首相が実施を公約に掲げ、15年12月に実施のための法律が制定された。イギリスのEUからの離脱は「ブレグジット(Brexit)」と呼ばれ、投票前から世界的な注目を集めた。キャメロン首相をはじめとする残留派は、離脱による経済や外交での不利益を説いてEUにとどまるべきと主張。一方、元ロンドン市長のボリス・ジョンソン下院議員らEU離脱派は、EU加盟国からの移民が急増していることやイギリス独自の政策が制限されている状況への不満を訴え、離脱支持を呼びかけた。両陣営による論戦が白熱していた6月16日には、残留派として活動していたジョー・コックス下院議員がイギリス中部のウエストヨークシャー州で殺害される事件も発生した。この国民投票に登録した有権者数(18歳以上)は約4650万人で、投票率は72.2%。開票の結果、離脱が1741万742票(51.89%)で残留の1614万1241票(48.11%)を上回り、イギリスはEU基本条約(リスボン条約)50条の規定に従って、2年間の交渉期間を経て離脱することになった。この結果を受け、残留派を率いてきたキャメロン首相は辞意を表明。イギリスが離脱に進むことが決まったことで、世界各国の株式市場、為替市場で大きな混乱が見られたほか、EU残留派が優勢だったスコットランドや北アイルランドではイギリスからの分離を目指す動きが再燃するなど、動揺が広がっている。