タイの軍事政権。2014年5月22日、プラユット陸軍司令官がクーデターを宣言。全権を掌握して樹立した。発端は、13年にタクシン元首相の妹であるインラック首相が、議会に提出した恩赦法案にある。成立すれば、06年にクーデターで失脚し、国外に亡命しているタクシン元首相の帰国が可能になる法案だったが、野党の反発によって撤回された。インラック首相は下院を解散することで巻き返しを試みたが、14年2月の下院総選挙は反政府デモ隊の妨害などのため、憲法裁判所によって無効と判断され、再選挙が命じられた。同年5月7日、インラック内閣が11年に行った政府高官人事に関し、縁故採用であり、公務員人事への不当介入、職権乱用に当たるとして、憲法裁判所が憲法違反と認定。人事に関与した閣僚9人とともに、首相も即時失職となった。この間も、反政府デモ隊と治安部隊の衝突は繰り返されており、5月15日までに27人が死亡し、数百人が負傷。この事態を受けて同月20日、陸軍が秩序回復に向けて戒厳令を発令し、22日にはクーデターを宣言した。その後、26日に、プミポン国王はプラユット陸軍司令官が国家平和秩序評議会の議長に就任することを正式に認め、軍の実権掌握を実質的に承認した。