北朝鮮の警戒態勢において、「戦時状態」に次いで2番目にレベルが高い態勢。朝鮮人民軍最高司令官の命令で宣言される。軍部隊がいつでも戦闘を開始できる準備態勢が敷かれるほか、住民の軍事訓練なども行われる。過去には、1968年1月にアメリカの情報収集船が北朝鮮海軍に拿捕(だほ)されたプエブロ号事件発生時や、76年8月に北朝鮮兵が米軍将校を殺害したポプラ事件発生時、83年2月と93年3月の米韓合同軍事演習「チームスピリット」実施時に宣言された。2015年8月4日、韓国との国境周辺に設けられた非武装地帯の韓国側で地雷が爆発し、韓国軍兵士2人が重傷を負う事件が発生。韓国政府はこの事件を北朝鮮のしわざと断定し、同月10日から北朝鮮の体制批判などを大音量で流す宣伝放送を11年ぶりに再開した。これに対し、北朝鮮は20日に韓国領内への砲撃を行い、韓国軍も反撃。北朝鮮はさらに、22日夕方までに宣伝放送をやめなければ軍事行動を開始すると通告し、韓国との前線地帯が22年ぶりに準戦時状態に入ると宣言した。両国の軍事衝突の懸念が高まるなか、22日から南北軍事境界線上にあり両国が共同管理する板門店で両国高官が協議を開始。25日に合意に達し、地雷事件について北朝鮮が「遺憾」を表明するとともに準戦時状態を解除し、韓国の宣伝放送も中止されることになった。