国際的な紛争の調停や審査を行う紛争処理機関。1899年にオランダで開かれた第1回ハーグ平和会議で採択された国際紛争平和的処理条約に基づき、1901年ハーグに設立された。国連の司法機関である国際司法裁判所(ICJ)が国家間の法的紛争を扱うのに対し、常設仲裁裁判所は国際組織や個人の紛争も対象とし、領土問題だけではなく、人権問題や商業トラブルなど幅広い分野を扱う。2015年12月時点で117カ国が加盟。実際には、仲裁裁判の際に選ぶことができる裁判官の名簿が常備されているだけで、裁判所として常設されているわけではない。名簿に記されるのは、加盟各国が4人まで任命できる国際法の専門家など。審理が開始されれば、一方の当事者が拒否しても仲裁手続きが進められる。13年1月、フィリピンは中国の南シナ海領有権の主張や活動について、国連海洋法条約に基づき仲裁手続きを提起。中国は仲裁裁判所の管轄外であるとして手続きを拒否していたが、同裁判所は15年10月にフィリピンによる15件の訴えのうち7件について管轄権を認め、審理入りを決定した。