オスマン帝国の始祖であるオスマン1世の祖父、スレイマン・シャーの墓。トルコとシリアの国境から約35キロ離れたシリア北部のアレッポ県にあり、トルコの飛び地となっている。1921年、シリアを委任統治していたフランスがトルコとの間で結んだアンカラ条約によってトルコ領に認定。73年に、ダムの建設に伴って約80キロ北に移動された。トルコでは国民の名誉と尊厳の象徴とされており、トルコ軍が警備に当たっている。2014年10月、過激派組織「イスラム国」(IS)が周辺地域に迫っていたことから、トルコ国会が同国軍によるシリア、イラクでの越境軍事作戦を承認。以後も緊迫した状況が続いていたが、同地が15年2月20日ごろから「イスラム国」に包囲されていると伝えられたため、同月22日、トルコ軍が警備兵約40人の救出作戦を実施。この作戦は、アメリカが「イスラム国」に対抗するために呼びかけ、イギリスなど複数の国が参加している有志連合に事前通告をせず、トルコ政府の独自判断によって行われた。「イスラム国」の基地にならないように墓は破壊し、遺物は別の場所に移すために回収した。