犯罪者が自らの犯罪行為を基に得た収入は被害者の救済にあてなければならないとする、アメリカの法律の通称。同法が制定されたのは、1976~77年にかけてニューヨークで若い女性など6人が殺害された連続殺人事件がきっかけ。大手出版社が、加害者のデビッド・バーコウィッツに多額の報酬を提示して手記の出版を持ちかけたことが問題となり、77年にニューヨーク州で同法が制定された。法律名は、バーコウィッツが警察やメディアに「サムの息子」を名乗る手紙を送ったことに由来する。その後、約40州と連邦政府でも同様の法律が制定されている。91年には、連邦最高裁で、ニューヨーク州の法律が表現の自由を保障した憲法修正1条に違反するとの判決が出され、犯罪と収益の関係をより限定的に規定するなどの改正が行われた。2015年6月、1997年に起こった神戸連続児童殺傷事件の加害男性による手記「絶歌」(太田出版刊)が発売され、初版10万部、増刷5万部とベストセラーの上位に名を連ねた。同書によって加害男性が多額の印税収入を得ることが疑問視され、日本でも同様の法律を導入すべきではないかと注目を集めた。