アメリカのミシガン州南東部に位置する商工業都市。市名はフランス語で「海峡」を意味する。1701年にフランスの貿易業者が建設した交易所から発展した町で、1796年にアメリカ領となる。その後、19世紀末から20世紀初頭に興った自動車産業の発展とともに急成長を遂げて、世界有数の自動車工業都市になり、モーター・シティーとも呼ばれるようになった。現在も市内にはアメリカ自動車産業のビッグスリーの一つ、ゼネラル・モーターズ(GM)が本社を構え、残る二つのフォード・モーター、クライスラーも同市周辺に本拠を置く。こうした自動車産業の隆盛に伴って、多くの労働者も流入し、1950年には人口が約185万人に達した。また、60年代に流行したモータウン・サウンド発祥の地としても知られる。しかし、1970年代から80年代にかけて日本車との競争が激化し、以後、同市における自動車産業は衰退。2010年の人口は最盛期の半分以下の約70万人にまで落ち込み、同年6月時点の失業率は23.4%を記録した。人口縮小、失業率上昇による税収の減少は行政サービスの停滞を招き、深刻な治安の悪化にも悩まされるようになった。市の財政は慢性的な赤字が続き、13年7月、ついに連邦破産法第9条の適用を申請して財政破綻。負債総額は180億ドルに上り、アメリカの自治体としては史上最大規模の財政破綻になった。