イスラム暦(ヒジュラ暦)で9番目の月の名前。イスラム暦は月の運行に基づく太陰暦であるため、太陽暦を基準にした場合、毎年のラマダンの訪れは11日程度早くなっていく。イスラム教では、預言者ムハンマドが最初に神からの啓示を授かった神聖な月とされ、ラマダンの間、イスラム教徒は五つの宗教的義務(五行)の一つである断食(サウム)をしなくてはいけない。そのため、日本では断食月とも呼ばれる。この期間中は、日の出から日没まで、日中の飲食や喫煙、性行為が禁じられ、厳格に取り組む信徒は自分のつばすら飲み込まないことがあるという。ただし、日没後は普段よりも豪勢な食事をとることが多い。また、子どもや妊産婦、老人、病人、旅行者など、履行が困難な人に対しては義務が免除される。2012年7~8月に開催されたロンドン・オリンピックでは、大会開催期間全体がラマダンと重なったため、参加するイスラム教徒の選手に対して断食を免除すべきかが議論となり、エジプトでは宗教指導者が、選手らは「旅行者」に当たり断食を守る必要はないとの見解を示した。ラマダン終了後の3日間は、イスラム教の二大祝祭の一つ、断食明けの祝祭(イード・アル・フィトル)となり、イスラム世界全体で盛大に祝われる。