アメリカのオバマ大統領と中国の習近平国家主席が2015年9月25日にワシントンで行った首脳会談。両首脳による5回目の会談であり、中国の南シナ海進出やサイバー攻撃などの問題で悪化した関係を改善させる成果が得られるか、注目が集まった。約2時間にわたった会談の中で、オバマ大統領はアメリカ企業の知的財産などを狙う中国からのサイバー攻撃について懸念を伝え、中止を要求。習主席は中国政府の関与を否定したうえで、両国が協力して対策を協議する枠組み作りを提案。両国政府が知的財産に対するサイバー攻撃を実行、支援しないことを確認し、サイバー犯罪の情報提供などで協力するための閣僚級対話を新設することで合意した。南シナ海問題では、中国が進める岩礁の埋め立てや軍事施設建設についてオバマ大統領が強い懸念を示したのに対し、習主席は同海域の島は中国固有の領土であり、主権の範囲内の行動だとする従来の主張を繰り返し、議論は平行線に終わった。同海域上空などで両国軍用機の異常接近が多発している問題では、空中での偶発的な衝突を回避するため、両国空軍の行動規範作成などで合意した。経済分野では、15年8月の人民元切り下げについて、市場動向を為替相場に反映させる一時的な措置であると習主席が表明。人民元の市場化を進めることを約束した。また、両国間の投資を促進する米中投資協定は早期妥結に向けた交渉の加速化で一致した。気候変動問題では、17年から中国で二酸化炭素などの排出権取引制度を実施すると表明した。オバマ大統領は、中国の人権問題や民主化についても問題点を指摘したが、習主席は「国によって異なる歴史や国情を尊重すべき」と述べ、溝は埋まらなかった。