欧州連合(EU)からの離脱をほのめかしているイギリスが残留の条件としてEUに求めた改革案。2016年2月18、19日に開催されたEU首脳会議において、全会一致で合意した。イギリスのEU離脱問題は、BritainとExitを組み合わせて「Brexit ブレキジット」と呼ばれ、国内外に波紋を投げかけてきた。15年11月、イギリスのキャメロン首相が、EU域内の移民の抑制、経済競争力の強化、EU加盟各国の主権尊重、非ユーロ加盟国の権利保護の4項目の改革案を提示。これに対して、トゥスクEU大統領が16年2月初めに示した改革案をもとに協議が続けられてきた。合意した改革案は、(1)移民の入国から最大4年間にわたり移民に対する社会福祉を制限する措置を導入し、措置の継続期間は7年間とすること、(2)EUの政治的な統合の深化に対し、イギリスがこれ以上コミットしない特別な地位を認めること、(3)通貨統合を強化する新たな政策に対し、非ユーロ加盟国がEUに対して追加協議を求める緊急措置を認めるが、イギリスが要求していた拒否権は認めないことなど、イギリスの要求に大幅に譲歩した内容となった。改革案の合意を受け、キャメロン首相は、EU離脱か残留かを問う国民投票を16年6月23日に実施する見通し。同首相は、EU側の譲歩を引き出したことを踏まえ、改革後のEUに残留することを国民に呼びかけるとしている。しかし、ロンドンのジョンソン市長のほか、数人の閣僚がEU離脱支持を表明するなど、国論は二分している。