2014年4月28日に、アメリカとフィリピン両政府が締結した軍事協定。防衛協力強化協定(EDCA)とも呼ばれる。同協定により、アメリカ軍はフィリピン軍基地の共同利用や、基地内に独自の施設を建設することができる。ただし、フィリピン憲法では外国軍の駐留を禁じているため、アメリカ軍は常駐ではなく、ローテーションで部隊を配備。アメリカ軍が建設する施設の所有権もフィリピン側に属することが定められている。また、核の持ち込みは禁止。協定の期限は10年間で、更新も可能とされている。同協定締結の背景には、スプラトリー諸島(南沙諸島)を含めた南シナ海の領有権を巡るフィリピンと中国との対立がある。近年、中国は南シナ海に独自の境界線を引き、12年にフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置するスカボロー礁を実効支配するなど、進出攻勢をかけ、両国間で激しい衝突が続いており、同協定は中国を牽制(けんせい)する狙いがある。フィリピンへのアメリカ軍の派遣は、1992年に完全撤退してから22年ぶり。