配偶者のいる者が配偶者以外の者と性的関係を持つ罪。既婚者の婚姻外での性交渉は、世界の多くの地域で古くから処罰の対象とされ、日本でも江戸時代には密通と呼ばれて厳しく罰せられた。大日本帝国憲法下の1907年に制定された刑法183条では、夫が姦通したとき、相手が既婚女性でなければ処罰されなかったのに対し、妻の姦通の場合は相手が既婚者ではなくても2年以下の懲役とされた。しかし、男女の平等、夫婦の平等をうたう日本国憲法の制定に伴い、男女双方を処罰するか、それとも双方を不処罰とするかで議論が起こり、結局、不処罰論が国会で多数を占めて、47年の刑法一部改正で姦通罪の規定は削除された。台湾やイスラム圏などでは姦通罪が存続しているほか、適用されるケースはほぼないものの、アメリカの一部の州にも残っている。韓国も姦通罪が残る国の一つだったが、2015年2月に憲法裁判所が同国刑法の姦通罪を違憲とする判断を示し、同罪を廃止。同国の姦通罪は、1953年に制定された刑法で男女ともに適用する罪として規定され、近年は存否をめぐって社会的な議論が続いていたが、1990年から2008年にかけて計4回、憲法裁判所が合憲とする判断を出していた。