2016年5月26~27日に三重県志摩市の賢島(かしこじま)を主会場として開催された第42回主要国首脳会議。議長国である日本の安倍晋三首相をはじめ、アメリカのオバマ大統領、フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、イギリスのキャメロン首相、イタリアのレンツィ首相、カナダのトルドー首相の主要7カ国(G7)首脳と、欧州連合(EU)のトゥスクEU首脳会議常任議長、ユンケル欧州委員長が参加した。日本でのサミット開催は6回目で、08年の北海道洞爺湖サミット以来、8年ぶり。主要議題であった世界経済について、安倍首相は会議の場において、世界の経済指標がリーマン・ショック前の状況に似ていると言及したが、ほかの首脳からの賛同は得られなかった。会議終了後に採択された首脳宣言では、経済成長は引き続き緩やかでばらつきがあるとし、下方リスクは高まっているという認識で一致。G7が財政、金融、構造改革を個別、総合的に用いて世界経済をけん引することを目指す伊勢志摩経済イニシアチブが盛り込まれた。一方で、日本が意欲を示した財政出動での協調に関しては、慎重派のイギリス、ドイツに配慮して、一致した対応は見送られた。海洋安全保障分野では、中国を名指しすることは避けたものの、東シナ海と南シナ海における状況への懸念を表明し、国際法に基づく主張の重要性などを確認した。北朝鮮の核開発やミサイル発射の問題については強い非難を表明し、北朝鮮に国連安保理決議の履行を要求した。ウクライナ情勢を巡っても、ロシアによるクリミア併合を非難し、ミンスク合意の完全な履行を求めていくとした。首脳宣言のほかに六つの付属文書も採択されており、16年春、パナマ文書をきっかけに表面化した、租税回避地(タックスヘイブン)を利用した課税逃れへの対策などについて合意がなされている。17年のサミットはイタリアのシチリア島で開かれる予定。