世界的な人の移動(移住)を専門に扱う国連の国際機関。本部は、スイスのジュネーブにある。1951年に主としてヨーロッパからラテンアメリカ諸国への移住支援のために設立された欧州移住政府間委員会(ICEM)が前身で、その後、活動範囲を世界各国に拡大し、80年に移住政府間委員会(ICM)に名称変更。89年に現在の名称となる。活動内容は、(1)人道・復興支援、(2)平和の構築、(3)人間の安全保障、(4)難民の第三国定住、(5)人身取引対策、(6)移住と開発など幅広い分野に及ぶ。加盟国数は2015年12月現在162カ国で、日本は1993年に加盟。2016年1月現在の職員数は9000人以上で、日本人の専門職員は21人を数える。16年7月25日、IOMは国連の関連機関となることが国連総会で決定された。同機関が16年8月2日に発表したところによると、同年の世界各地における難民や移民の死者・行方不明者数は4027人で、15年同期の1.3倍。そのうち約8割にあたる3120人は、地中海を渡ってヨーロッパを目指す航海中に船の転覆などの犠牲となった。内訳は、ナイジェリア、エリトリア、ガンビアといった国からの難民が多い北アフリカからイタリアへ渡るルートで2692人、シリアの難民が多いトルコ方面からギリシャへのルートは383人、北アフリカからスペインへのルートで45人。