国際的な犯罪の防止や捜査協力を目的として結成された、各国警察機関による組織。通称、インターポール(Interpol)。1923年に創設された国際刑事警察委員会が前身。56年に同委員会でICPO憲章が採択され、国際刑事警察機構へと発展的に改組された。同憲章は機構の目的を、普遍的な人権や自由の基準を定めた世界人権宣言の精神に基づき、各国の警察が国内法の範囲内で最大限の相互協力を確保し、犯罪の予防や鎮圧に向けた制度を確立・発展させることとしている。また、憲章ではICPOが政治的、軍事的、宗教的または人種的性格を持つ干渉や活動を行うことを禁止している。目的遂行のために行う主な活動は以下の4つ。(1)情報交換を行うための安全な世界規模の警察通信サービスの提供。(2)国際犯罪や国際犯罪者に関する情報のデータベース化と、情報の提供。(3)国外逃亡者や行方不明者、身元不明死体などの国際手配。(4)捜査能力向上や犯罪情報活用のためのトレーニング。この他、犯罪対策を推進する国際会議の開催などを行っている。なお、ICPO自体に強制捜査権や逮捕権はない。本部はフランスのリヨン市に置かれ、190カ国・地域が加盟(2012年末現在)。日本は1952年に加盟した。2014年9月、サイバー犯罪捜査支援などを行うシンガポール総局を設置。初代総局長に警察庁からICPOに出向中の中谷昇が就任する。