反欧州連合(EU)統合、反ユーロ、反移民といった政策を訴える政治勢力の総称。欧州懐疑主義とも呼ばれる。それぞれの勢力の主張や立場には幅があり、一致した行動を取っているわけではないが、欧州各国で勢力が急進しつつある。2014年5月に行われたEU議会選挙では、懐疑派とされる勢力が定数751の2割を超える議席を獲得。フランスでは、EU統合や移民受け入れに反対する極右政党の国民戦線(FN)、ギリシャでは財政再建策の見直しやEUへの債務減免要求など、反EUを掲げる急進左派連合(SYRIZA)、さらにイギリスとデンマークでも、反EUを掲げる政党がトップとなった。また、イタリアでは五つ星運動(M5S)、ドイツではドイツのための選択肢(AfD)が新たに議席を獲得するなど、欧州懐疑派が大きく躍進した。15年1月のギリシャ総選挙でも、急進左派連合が300議席中149議席を獲得して第1党になり、同じく反緊縮を掲げる保守政党の独立ギリシャ人党と連立政権樹立で合意。急進左派連合のチプラス党首が首相に就任した。欧州懐疑派が支持を拡大している大きな理由の一つが、信用不安により各国が深刻な不況に陥ったことである。EU全体の失業率は10%を超えているが、既存政党が有効な手立てを講じられなかったことに対する有権者の不満が選挙結果に現れたと見られる。