アメリカのバラク・オバマ大統領による2016年5月27日の広島訪問。同月26~27日に三重県志摩市で開催された伊勢志摩サミットに出席するため来日していた同大統領が、サミット閉幕後に訪れた。現職のアメリカ大統領が被爆地の広島を訪れたのは初めて。同日、広島市に到着したオバマ大統領は安倍晋三首相とともに平和記念公園を訪れて、平和記念資料館(原爆資料館)を約10分間見学し、芳名録に記帳。その後、広島、長崎両市長や被爆者らの前で原爆死没者慰霊碑に献花し、約17分間のスピーチを行った。スピーチでは冒頭で、原爆で死亡した日本人、朝鮮半島出身者、アメリカ人捕虜などすべての原爆犠牲者を追悼すると述べ、戦争の悲惨さを強調。そのうえで、広島の記憶を風化させず、核兵器保有国が恐怖の論理にとらわれずに核兵器のない世界を追求していく必要性を訴えた。原爆投下は終戦に必要だったという意見が根強いアメリカ国内の世論に配慮して、投下の是非には言及せず、謝罪も行わなかった。また、ロシアとの対立などさまざまな要因で現実には進展していない核兵器廃絶について、具体策は打ち出されなかった。