第二次世界大戦における旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐって、日韓両政府が2015年12月28日に交わした合意。同問題は長年にわたって両国関係の懸案だったが、15年11月に開かれた安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領の首脳会談で早期妥結に向けた交渉を加速させることで一致し、同年12月の岸田文雄外務大臣と尹炳世(ユン・ビョンセ)外務大臣の会談で合意に達した。会談後、両外相が行った共同記者発表では、岸田外相は、「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であり、「日本政府は責任を痛感」していると述べ、安倍首相の「おわびと反省の気持ち」を伝えた。加えて、韓国政府が元慰安婦を支援する財団を設立するにあたり、日本から10億円程度の資金を拠出し、両政府が協力して支援事業を行っていくと表明した。尹外相は、日本の表明とこれまでの取り組みを評価すると述べ、ソウルの日本大使館前に建てられ、日本政府が撤去を求めている慰安婦問題を象徴する少女像については、「関連団体との協議を通じて適切に解決されるよう努力する」と表明。両国は、前述の支援事業が着実に実施されることを前提に、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」し、今後、国連などの国際社会において、同問題について互いに非難、批判することを控えることで合意した。合意を受けて同日中に行われた日韓首脳電話会談では、安倍首相が「日本国の首相として心からおわびと反省の気持ち」を表明。朴大統領は今回の合意を「日韓関係を安定的に発展させる歴史的契機にしたい」と話し、両者は責任を持って合意を実施し、日韓関係を前進させることを互いに確認した。