婚前、婚外交渉を行ったり、家族の意向に沿わない男性と結婚したりした女性を、一族の名誉を汚したとして親や兄弟などが殺害する風習。イスラム圏を中心に、中東や南アジアで見られるほか、アフリカ諸国、ヨーロッパや南米などでも報告されている。女性がレイプの被害者となったことを理由に殺されるケースや、イスラム文化圏では、同性愛者が対象とされる場合もある。2010年3月、国連人権高等弁務官のナバネセム・ピレイが、世界で毎年5000人の女性が犠牲になっていると報告した。中でも、インドやパキスタンではたびたび名誉殺人が起こっており、パキスタンの人権団体「パキスタン人権委員会」が14年4月に発表した報告書によれば、13年に同国で犠牲になった女性は869人に及ぶという。