中米のパナマにあり、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河(全長約80キロメートル)を拡張する形で造られた新水路。2016年6月26日に開通した。1914年に操業を開始したパナマ運河は、海水面と、内陸部の湖水面の最高標高とで26メートルの高低差があるため、閘門(こうもん)と呼ばれる装置で運河を区切り、水面を昇降させて船舶を通航させる。しかし近年では、船舶の大型化が進んだため通航できない船が増加し、幅の狭さから渋滞も慢性化していた。そこでパナマ政府は2006年に拡張工事の計画を国民投票で決定し、翌07年に着工。総事業費52億5000万ドル(約5300億円)と約9年の期間をかけて完成させた。新水路は従来の水路に並行する形で建設され、閘門も大型化された。従来の水路では長さ294.1メートル、幅32.3メートルまでの船が通航可能だったが、新水路では長さ366メートル、幅49メートルまでとなり、大型のコンテナ船やタンカーも通れるようになった。新水路の開通により、それまでエジプトのスエズ運河などを経由していた大型船が通航できるようになり、北米からアジアに運ばれる液化天然ガス(LNG)などの新ルートとして、輸送にかかわるコストや時間の削減が期待されている。