安倍晋三首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が2015年11月2日にソウルで行った首脳会談。両国の首脳会談が行われたのは、12年5月に当時の野田佳彦首相と李明博(イ・ミョンバク)大統領が開催して以来、約3年半ぶり。同年8月の李大統領による竹島上陸や、従軍慰安婦問題などで両国の関係が悪化したため開催されない状態が続き、安倍首相と朴大統領になってからは初めての会談となった。従軍慰安婦問題を巡っては、被害者や韓国国民が納得できる水準での解決を求める韓国側と、損害賠償の請求権については1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本側、双方が従来からの立場を崩さなかったものの、早期妥結を目指して交渉を加速させる方針で一致。外交当局の局長級の協議を加速させるとした。北朝鮮による核開発や拉致問題では両国が協力することで一致した。また日本側からは、福島第一原子力発電所事故を受けた日本産水産物の輸入規制撤廃が要請され、朴大統領に対する名誉毀損で産経新聞の前ソウル支局長が起訴、求刑された問題についても懸念が伝えられた。韓国側は、韓国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を決定した場合の日本側の協力を求めた。ソウルでは、同会談に先駆けて10月31日に中国の李克強首相と朴大統領による中韓首脳会談が開かれ、政治、経済分野などでの交流と協力の強化、北東アジア情勢について協議した。翌11月1日には第6回日中韓首脳会談(日中韓サミット)が開催され、3カ国の自由貿易協定(FTA)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの早期妥結に向けた協議促進について合意し、「北東アジアの平和と協力のための共同宣言」を採択した。同日には安倍首相と李首相による日中首脳会談も開かれ、日中ハイレベル経済対話の再開や東シナ海におけるガス田開発に関する対話再開で一致した。