紛争や自然災害による難民などへの人道支援のあり方を議論する国際連合(国連)主催の国際会議。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が呼びかけ、トルコのイスタンブールで2016年5月23~24日に初めて開催された。全世界で1億人以上の人が支援を必要とし、6000万人以上が難民生活を余儀なくされるなか、より効果的な支援を実現するための議論を行うことが目的。開催に先立って潘事務総長は同年2月、(1)紛争を予防、解決する政治指導力、(2)人道規範の順守、(3)誰も置き去りにしない(弱い立場にある、または危険にさらされているすべての人への人道支援)、(4)人道支援のニーズそのものをなくす、(5)人道への投資、の五つの課題を発表しており、会議ではこれらの課題を踏まえた話し合いがなされた。会議には170以上の国の代表や援助機関関係者など約6000人が参加したが、ドイツのメルケル首相以外のG7首脳は参加を見送った。日本からは福田康夫元首相が政府代表として出席し、中東各国の人材育成や、シリアからの留学生の受け入れ拡大など、3年間で60億ドル規模の支援を表明した。閉会後の議長総括では、各国が取り組む支援策のまとめとして、緊急人道支援のための基金を従来の2倍の10億ドルに増額すること、子どもの教育機会を確保するための基金を創設すること、難民の自立に向けた長期的な支援を行うこと、といった方針が発表された。