韓国と北朝鮮の実効支配地域を示す軍事境界線。朝鮮戦争(1950~53年、ソ連のスターリンと中国の毛沢東の承認を得た北朝鮮の金日成が韓国に対して起こした戦争)停戦後、53年7月の停戦協定では海上の境界線が定められていなかったことから、翌月、国連軍が独自に黄海上に設定した。国連軍が自軍の艦艇や航空機の活動の北方限界としたため、こう呼ばれる。韓国での呼称は、西海海上軍事境界線。西海は黄海のこと。北朝鮮は北緯38度線に設定された陸上の軍事境界線は認めたが、NLLについては同意していない。99年6月、延坪(ヨンピョン)島周辺の海域で、北朝鮮警備艇と韓国軍艦艇の銃撃戦が起こり、同年9月に北朝鮮はNLLの無効を宣言し、さらに南寄りに独自の境界線を設定した。その後も、南北の軍事衝突がたびたび発生している。2002年に、NLLを越えた北朝鮮警備艇2隻と韓国の高速艇が交戦。09年に、北朝鮮警備艇と韓国の高速艇が交戦、10年3月には韓国軍の哨戒艇が北朝鮮の魚雷攻撃によって沈没する事件が発生した。同年11月、北朝鮮軍が沿岸から延坪島を砲撃し、韓国軍が応戦する事件も起きている。14年3月には、北朝鮮が事前通告したNLL付近での射撃訓練で約500発の砲弾を発射。この訓練の直後、韓国国内で北朝鮮の無人偵察機が墜落しているのが発見された。