イラク北部とシリア東部を拠点に、イスラム国家の樹立を目指して活動するイスラム教スンニ派の過激派武装組織。イラク・レバントのイスラム国(ISIL)とも表記される。レバントとはシリア(シャーム)を含む地中海東海岸地方を指す言葉。スンニ派の反米武装勢力「イラク・アルカイダ機構」の流れをくみ、06年、「イラク・イスラム国(ISI)」の“建国”を宣言。08年に、イラク政府とアメリカ軍による掃討作戦が行われたことで武装活動は下火となったが、11年のシリア内戦に乗じて同国を拠点に勢力を拡大、自爆テロや暗殺などを繰り返してきた。13年4月に現在の名称に改称。組織を率いるのはアブバクル・バグダディ。13年3月にシリア北部の都市ラッカを制圧。14年に入るとイラクでの攻勢を強め、同年1月に同国西部の都市ファルージャを占拠。6月になると各都市への攻撃を始め、10日には北部ニナワ州のモスルを掌握するなど、首都バグダッドへ迫る勢い。イラクは長年イスラム教スンニ派のサダム・フセイン率いるバース党が支配してきたが、03年のイラク戦争後、06年に対立するイスラム教シーア派のマリキ政権が誕生。06~07年にかけて宗教間抗争が激化したほか、近年もマリキ政権がシーア派を優遇したことから、再びスンニ派との対立が激しくなっている。