軍隊の構成員のうち、事務員や技師、通訳など軍人ではない者。日米地位協定では、「合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの」と定められている。軍人と同様、公務中の犯罪については、アメリカ側が優先的に裁判権を有する。アメリカ側が裁判権を放棄するか、公務外での犯罪については日本に行使する権利がある。ただし軍属の範囲の細かい定義はなく認定もアメリカ側に委ねられており、従来から曖昧さを指摘されてきた。日米両国政府は2016年7月5日、同年4月28日に沖縄県うるま市で起こった米軍属の男性による女性暴行殺害事件を受け、再発防止策の一環として、同協定の対象となる軍属の範囲を明確化することで合意。日米地位協定の改定ではなく、運用面で対応しようとするもの。合意では、軍属を(1)アメリカ政府の予算によって雇用され、在日米軍のために勤務する文民、(2)米軍が運航する船舶および航空機の乗組員、(3)米軍の公式な目的のためにのみ日本に滞在する者、(4)技術アドバイザーおよびコンサルタントの四つに分類。技術アドバイザーおよびコンサルタントについては、「高度な技術や知識を持ち、米軍の任務に不可欠な者」との条件を明示した。具体的な職種は引き続き協議し、特定する。また合意には、日本の在留資格を有する者を軍属から除外するという同協定の規定を厳格に守る仕組みを強化すること、軍属としての適格性の定期的な見直しや教育・研修の強化を行うといった内容も盛り込まれた。両国政府が数カ月間にわたって細部の詰めを行い、文書で発表することを目指す。