艦艇や航空機による意図的ではない軍事衝突を回避するために、2国間の防衛当局で事前に決めておく緊急連絡体制。現場の部隊や当局、政府間で複数のホットラインを設置することで、緊急時に早急に連絡を取り合う体制を構築し、衝突の未然の防止や、衝突後の事態拡大の回避などを図る。日本とロシアの間で1993年に締結された海上事故防止協定もその一種。沖縄県の尖閣諸島周辺海域をはじめとして、東シナ海で緊張関係が続く日本と中国の間では、2008年4月に運用開始に向けた実務協議がスタートした。その後、12年6月の第3回協議までに、両国の防衛当局や専門家による定期会合の開催、防衛当局の幹部間のホットライン設置、現場部隊同士が直接通信するための共通の無線周波数や言語の設定などを柱とした内容で大筋合意に近づいた。しかし、同年9月に日本政府が尖閣諸島の国有化を決定したことに中国側が反発し、協議は中断。以後2年以上、進展がなかったが、14年11月に北京で行われた日中首脳会談で、安倍晋三首相と習近平国家主席が協議再開と早期の運用開始について合意した。