フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)」本社が武装した男に襲撃され、関係者らが殺傷された事件。2015年1月7日、パリ中心部に近い同社に、覆面をして自動小銃などを持った複数の男が押し入り、編集会議のために集まっていた編集者や風刺漫画家、警備にあたっていた警察官ら12人を射殺した。同紙は政治家や宗教などを風刺する姿勢で知られ、過去にもたびたび、イスラム教の預言者ムハンマドをモチーフにした風刺画を掲載したことなどから、物議をかもしていた。また、事務所への放火や編集者への殺害予告なども受けていたため、警察の警備対象となっていた。捜査当局は、襲撃を実行した容疑者2人はアルジェリア系フランス人でパリ出身の兄弟だと発表。2人は襲撃後、自動車で逃走し、同月9日にパリ近郊の印刷工場に人質を取って立てこもった。一方、8日朝には、パリ市南部で警察官1人が銃撃で殺害される事件が発生。9日に、逃走していた警官銃撃の容疑者のうち、1人がパリ市東部の商店に押し入り、買い物客らを人質に立てこもった。一連の事件は両者が連携したテロであった。立てこもった容疑者はいずれも、9日夕に突入した特殊部隊によって射殺されたが、商店における事件では人質4人が死亡した。14日にはイエメンを拠点とするアルカイダ系組織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が犯行声明を出した。フランス国内では、新聞社襲撃直後から、この事件を表現の自由に対するテロとみなして批判する声が高まり、抗議者の間では新聞社への同調を表す「私はシャルリー(Je suis Charlie)」というメッセージが広がった。11日には、フランス各地でテロに抗議するデモ行進が行われ、フランスのオランド大統領や各国首脳など約370万人が参加した。