第2次安倍内閣が2013年12月17日に閣議決定した国家安全保障戦略において、国家安全保障の基本理念に掲げた概念。「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく」としている。「積極的平和(positive peace)」は1942年に、アメリカの法学者クインシー・ライトが「消極的平和(negative peace)」とあわせて唱え、その後、ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングが、「戦争だけではなく、貧困や搾取、差別などの社会的な構造による暴力もない状態」と定義付けた言葉。一方、安倍晋三首相が2013年9月にアメリカの保守系シンクタンクや国連で行った演説では、「積極的平和主義」の対訳として「proactive contribution to peace(平和への積極的な貢献)」を使用。この対訳について、英語圏では本来の「積極的平和」という意味では受け取られないとの指摘がある。また、集団的自衛権を容認する憲法解釈の見直しを推進する安倍内閣の姿勢に対しては、積極的平和の理念と乖離(かいり)しているなど批判もある。