エジプト北東部にあり、地中海と紅海を結ぶスエズ運河の一部を拡張した新水路。第2スエズ運河とも呼ばれる。2015年8月6日に開通した。1869年に開通したスエズ運河は、ヨーロッパとアジアを結ぶ最短航路として利用されてきたが、一部の区間が狭く一方通行になっていたため、航行する際の待機時間の長さが問題となっていた。エジプトのシーシ大統領は、就任2カ月後の2014年8月に運河の拡張工事計画を発表。当初3年と見積もられた工事期間を1年に短縮させるよう指示し、工事は急ピッチで進められた。拡張されたのは全長193キロメートルのうち、中部以南に位置する72キロメートルの区間。35キロメートルについては既存の運河と並行する水路を掘削して複線化し、37キロメートルは既存運河を拡幅して水深も深くした。これにより、地中海から紅海へ抜ける場合、通過時間は18時間から11時間に短縮されるという。同国政府では新水路の開通で、1日あたりの通航船舶数は従来の49隻から23年には97隻になると試算し、通航料収入も大幅に増加すると見込んでいる。