イラク北部の、クルド自治政府(KRG)が統治するスレイマニア、アルビル、ドホークの3州からなる地域をクルド人自治区といい、その防衛などにあたる治安部隊。クルド語で「死を恐れぬ者」を意味する。司令官、副司令官はクルド自治政府大統領によって任命される。1800年代後半に結成された、オスマントルコ帝国の国境警備兵のグループがルーツで、オスマントルコ帝国崩壊後、1920年代にクルド人の戦闘部隊として組織された。2003年のイラク戦争では、アメリカと同盟を結び、多国籍軍とともに自治区を防衛。フセイン政権打倒の一翼を担った。14年6月、イスラム教スンニ派過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」(その後「イスラム国(IS)」に改名)が、シリアから国境を越えてイラク国内に侵攻してきたため、アメリカやイラクなどからの軍事支援を得て、同組織に対抗。モスル郊外や油田のあるキルクーク、クルド人自治区の首都であるアルビルなど、イラク北部での戦闘を展開している。