ロシアにおけるカニの密漁や日本への密輸を防止するために、日本とロシアの間で締結された二国間協定。正式名称は「北西太平洋における生物資源の保存、合理的利用及び管理並びに不正な取引の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の協定」で、外務省などでは「水産物の密漁・密輸出対策に関する日露協定」という呼び方も用いている。日本は長年にわたり、ロシア海域で漁獲されたカニを輸入しているが、日本に輸入されるカニの量はロシア政府が把握する量の約7倍に達するともいわれ、密漁、密輸による生物資源の枯渇が懸念されていた。そのため、日ロ両国は資源保護と合理的利用のルール作りを進め、2012年9月に同協定に署名。運用面の調整を経て、14年12月10日に発効した。協定は、タラバガニ、ズワイガニ、毛ガニなどを対象とし、ロシアから日本にカニを輸出する際には、合法的に水揚げされたものであることを示すロシア漁業庁発行の証明書の提出を義務づけるなど、手続きを厳格化した。同協定の発効により、ロシアからのカニ輸入量が減少することが予想され、日本国内での流通量の減少と価格の上昇につながることが懸念されている。