ノーベル賞6部門の一つで、国際紛争の調停、軍縮、人権などの世界平和の実現に貢献した個人や団体を顕彰する賞。2015年10月9日、選考元であるノルウェーのノーベル賞委員会は、同年の賞をチュニジアの労働組合や人権組織など4団体からなる対話組織チュニジア国民対話カルテットに授与すると発表した。授賞理由は「11年のジャスミン革命後、チュニジアにおける多元的な民主主義構築に対する貢献」とされた。同国ではベンアリ元大統領による独裁的な長期政権に反発した民衆の反体制運動が10年12月以降に高まり、翌11年1月にベンアリ政権が崩壊。一連の運動は同国の代表的な花になぞらえてジャスミン革命と呼ばれ、その後、北アフリカや中東で相次いだ一連の民主化要求運動「アラブの春」の先駆けとなった。独裁政権崩壊後、イスラム政党と世俗政党が激しく対立するなど混乱が続いたが、13年夏にチュニジア労働総同盟(UGTT)、チュニジア工業商業手工業連盟、チュニジア人権連盟、チュニジア弁護士会の4団体による国民対話カルテットが発足。政党間の仲介役となったほか、政治家と市民の対話などを進め、14年1月の新憲法制定や同年11~12月の大統領選挙など民主化プロセスの進展につなげた。リビアやシリアなどで混乱が続く中、対話による対立解消に至ったチュニジアはアラブの春が起きた国で唯一の民主化成功例と見られている。授賞式は15年12月10日にオスロで開かれ、賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億1200万円)が贈られる。