1997年に国連が世界的な化学兵器の全面禁止及び不拡散を目的として設立した国際機関。同年に発効した化学兵器禁止条約に基づいて発足した。本部はオランダのハーグ。化学兵器の廃絶に向け、加盟国の化学兵器や生産施設の廃棄を申告と査察を通じて検証するほか、加盟国への抜き打ち査察の権限も持つ。しかし、直前の通告を受けた疑惑国が兵器を隠蔽(いんぺい)し、査察の目を免れる恐れがあるため、査察権の行使は難しいともいわれている。発足以来、2013年10月までに加盟国が保有を申告した化学兵器全体のうち、約82%に当たる約6万トンを廃棄した。この他、加盟国数の増加のための働きかけ、化学技術分野での加盟国間の協力を推進するなどの活動も行う。13年9月末時点で190カ国が加盟している。職員数は総勢約490人で、そのうち約140人が査察官。日本人も勤務し、防衛省から派遣された自衛官が査察や監視に当たっている。13年のシリア内戦で化学兵器が使用された問題では、同国政府からの保有化学兵器の報告書を受け、14年前半までに化学兵器の廃棄を完了させるため、内戦下の現地に入って廃棄作業などの活動を始めた。こうした「化学兵器廃絶へ向けた幅広い活動」が評価され、13年10月11日、ノーベル平和賞を受賞した。