2015年6月中旬以降、下落が続いた株価を下支えするために中国政府が打ち出した一連の施策。中国の株式市場は、14年11月の人民元利下げを機に急上昇を始め、代表的な指数である上海総合指数は15年6月に1年前の約2.5倍になった。ところが、相場の過熱を警戒した政府が過度な信用取引を制限する姿勢を示したことで下落に転じ、3週間で約3割も値を下げた。特に同年7月8日には一時、前日終値比で8%の急落となり、上海ショック、チャイナショックなどと呼ばれた。この間、中国政府は下落を食い止めるために矢継ぎ早に対策を実施。6月27日に同国の中央銀行にあたる中国人民銀行が貸出・預金基準金利と預金準備率の引き下げを発表したのを皮切りに、7月1日に証券監督管理委員会(CSRC)が信用取引の規制緩和を発表し、同月3日には同委員会が株式の供給過剰要因となる新規株式公開(IPO)を一時停止する方針を打ち出した。さらに、4日に政府の意向を受けた大手証券会社21社が総額1200億元(約2兆4000億円)以上を上場投資信託(ETF)に投じると発表。8日に上場企業の大株主を対象に6カ月間の株式売却も禁じた。9日には、公安当局が「悪意のある空売り」を取り締まると表明するなど、パニック売りに傾いた投資家心理の鎮静化を図る動きも見られた。上場企業による自社株の取引停止申請も相次ぎ、一時は全銘柄の半数近くが取引できない事態となったが、これも政府の意向を受けた動きとする指摘もある。こうした施策により市場の混乱はある程度収束したものの、中国政府による強引ともいえる介入については、市場の自律性を損なうものと懸念する声も上がっている。