ノーベル賞6部門の一つで、国際紛争の調停、軍縮、人権などの世界平和の実現に貢献した個人や団体を顕彰する賞。2014年10月10日、選考元であるノルウェーのノーベル賞委員会は、同年の賞を、パキスタン出身の女学生マララ・ユスフザイさんと、インド出身の人権活動家カイラシュ・サティヤルティ氏の2人に授与すると発表した。授賞理由は“子どもや若者への抑圧に立ち向かい、すべての子どもの教育を受ける権利のために奮闘している点”とされた。マララさんは1997年7月12日、パキスタン生まれ。同国北部に住んでいた2009年1月に、イスラム過激派組織パキスタン・タリバン運動(TTP)の実効支配下で女性への教育が否定され、学校が弾圧される様子をブログで書き始めた。その後、実名を明かして国内外のメディアでも教育を受ける権利について発言をしていたが、12年10月、下校中に頭部を銃撃され、意識不明の重体になった。事件後に搬送されたイギリスで一命を取りとめ、回復後はイギリスの高校に通いながら、子ども、女性の教育を訴える国際的な活動を継続。13年7月には国連本部で演説も行った。17歳での受賞は、ノーベル賞史上、最年少。一方のサティヤルティ氏は1954年1月11日、インド生まれ。80年から不当に就労させられている子どもを救う活動を開始し、同氏が主宰する非営利組織「子どもを救え運動(BBA)」は、約30年間の活動を通して8万人以上の子どもを児童労働の現場から救い出したという。また、同氏は、世界各地のNGOなどで作る子どもの人権保護のための国際ネットワーク「児童労働に反対するグローバルマーチ」の設立でも中心的な役割を果たした。授賞式は2014年12月10日にノルウェーのオスロで開かれ、賞金の800万スウェーデン・クローナ(約1億2000万円)は2人で分ける。